代表インタビュー
反対されても、やる。人の絆で未来へ。
ー反対を乗り越え、結果で示すリーダーシップ。"従業員"を第一に考え「いい会社」を創るー
今だから話せる、あの時のこと
「あの障害で、自分の価値が決まった気がした。」
―止まらないはずのサービスが止まった日、見えた責任の重さ―
質問者
秋枝さん、これまでのキャリア、ざっと教えていただけますか?
秋枝さん
はい、私は山口県出身で、今年55歳になります。
新卒で入ったIT企業では、クライアント、サーバー、ネットワーク周りを担当して、さらにインターネットプロバイダーの立ち上げまで、約7年間がむしゃらに働きましたね。
その後は転職して、データセンター事業の立ち上げから関わって、システムインテグレーター(SIer)として25年間、ずっとこの道で頑張ってきました。
質問者
25年ですか、それはなかなかですね。相当、濃い時間だったんじゃないですか?
秋枝さん
ええ、色々ありました。その後、ご縁があって今の会社、イシダコネクティッドに入りました。

質問者
なるほど、やはり人の縁って大きいですね。
データセンターでは、具体的にどういった業務を担当されてたんですか?
秋枝さん
最初はエンジニアとして入りまして、主にサーバーとネットワークインフラの整備をしていました。
その後、某通信キャリアのフィーチャーフォン向けの認証・課金システムのサービスの立ち上げで始める、そこのインフラ整備のリーダーを任されることになったんです。
質問者
あの頃のガラケー文化、思い出しますよ。
秋枝さん
そうですね。そのシステムは24時間365日、止まってはならないサービスでしたから。
トラブルが起きると、お客様の売上に直結してしまいますし、プレッシャーは大きかったですね。
質問者
それは…相当、神経使いますね。
これまでのご経験の中で、「あれがなければ今はない」と言えるような出来事ってありますか?
秋枝さん
ありますよ。35歳の時ですが、そのシステムを長時間止めてしまったことがありまして…。
質問者
えっ、それは…かなりの大ごとですね。
秋枝さん
はい、私は障害対応中だったので見ていませんが、周囲の人からテレビに報道されていると聞きました。
当時は3日間徹夜で対応して、システムの復旧作業やお客様への報告、再発防止策の策定と、あらゆることを同時並行でやっていました。
質問者
うわぁ…それはもう、修羅場ですね。
秋枝さん
補填策の話が出た時なんか、あまりの金額に冷や汗ものでした。
もちろん、仕事に対して責任感をもって取り組んでいましたが、この時は、「改めて、自分は社会的に大きな責任を持たされている仕事をしているんだな」と肌で実感しました。
転機と決断:キャリアの節目に何を選んだか
"今、やるべきこと"が見えたから、ぶつかったんだと思う。
―反発されても結果でひっくり返すって、そういうことだと思う。―
質問者
その出来事が、今の考え方にも繋がっているんでしょうか?
秋枝さん
まさにそうですね。システム開発や維持管理という責任はありましたが、お客様の先にさらにお客様がいること、お客様の立場に立つ責任感の重要性に気が付きました。
その結果、お客様とその先にいるお客様にとって何が最善かを深く考えるようになりました。
しかし、当時は本番と同じテスト環境が整っておらず、本番環境にリリースしなければなりませんでした。
お客様にとってはかなりの投資となりましたが、本番環境とほぼ同等のテスト環境をご提案させていただき、結果、かなりの費用をかけて環境を整えました。
質問者
それだけの投資を動かせたって、信頼もあったんでしょうね。
秋枝さん
ありがたいことに。
そこからですね、「真にお客様に向き合い、提案することの大切さ」、とにかく、お客様を向いて誠意を尽くすこと。
これまでもそうでしたが、その結果、お客様が分かって下さり、ビジネスを継続することができました。

質問者
これまで、周りの反対を押し切ってでもやったことってあります?
秋枝さん
むしろ、ほとんどのことが反対されてましたよ(笑)。コストがかかる、前例がない、リスクなどです。
良いも悪いも新しいことをやる時は反対の意見が多かったですね。もしくは周囲の協力を得られないこともありました。
質問者
ええ、あれだけの事件があっても、ですか?
秋枝さん
はい。「売れない、やってもうまくいかない」っていう空気でした。
もちろん、市場調査や現状分析と事業計画を策定しますが、最終的には、何としてもやり抜くという強い姿勢が大切だと思っています。
きっと性格なんですが、だったらやって見せるしか無いと思って、半ば強引に進めていました(笑)
質問者
なるほど…。納得させるというより、状況で包囲するって感じですね。
秋枝さん
そうですね。押し切ったなら、当然その分、結果も求められる。
だけど、それが良いプレッシャーになるんです。「あいつ、やるな」って思わせるくらいには、持っていかないとね。
チームと挑戦:マネジメントと現場のリアル
会社の財産は人
―現場に立ち続けるリーダーとしての矜持―
質問者
ところで秋枝さん、効率とか利益よりも、優先したいって思ってること、ありますか?
秋枝さん
ありますね。僕は「人」、つまり従業員を第一に考えています。
質問者
それは…共感しますね。どれだけ効率良くても、人が持たなかったら意味ないですもんね。
秋枝さん
そうなんです。
「お客様第一主義」を掲げる会社も多いと思いますが、社員がしんどくなって潰れてしまったら、意味がない。
理不尽な要望に無理に応える必要はないと感じました。
質問者
なるほど。無理しても、続かないですからね。
秋枝さん
ええ。もちろん、経験、成長としての「ある程度の負荷(キャパオーバー)」は必要だとも思っています。
ただ、人によって違いますので、そのバランスはすごく難しい。
でも一つだけはっきり言えるのは、「人が壊れてしまうこと」だけは絶対に避けたいということです。

秋枝さんの美学
壊れてまで働く意味なんて、ないと思ってる。
―人が続く会社じゃなきゃ、やる意味はない―
質問者
秋枝さん、「ああ、これが自分の仕事だな」と実感する瞬間って、どんな時です?
秋枝さん
そうですね…。
2〜3年後に「こうなってたらいいな」と思っていたことが、少しでも現実に近づいた時ですね。
達成感というか、手応えを感じられると、やっぱり嬉しいものですよ。
質問者
なるほど…未来に描いたビジョンが、少しずつ現実になっていく感じですね。
秋枝さん
そうなんです。
もちろん、思い描いた通りにいかないことも多いですが、それでも「理想に近づける」っていう実感がわくと、自分の中でワクワクするんですよね。
質問者
ちなみに、今のスタイルに影響を与えた出来事とか、考え方ってありますか?
秋枝さん
意外かもしれませんが、将棋ですね。
局面ごとの戦術とか、詰将棋で「どう詰めるか」を何通りも考えるような、そういう思考に影響を受けてると思います。
質問者
おお、将棋ですか。理詰めの世界ですもんね。
秋枝さん
ええ。でも、最後は一手に踏み出す勇気もいる。そのバランスが好きなんです。
仕事でも、「ここで勝負」って時には思い切りが必要だなと、そう思っています。
質問者
仕事をする上で、「ここだけは妥協できない」という美学ってありますか?
秋枝さん
さっきとも重なりますが、「従業員が壊れないこと」ですね。
どれだけお客様のため、売上のために尽くしても、そのあとに続く人がいなければ、組織として意味がないと思ってます。
だからこそ、現場とのコミュニケーションが大切だと思いますし、現場の意見を聞いて、どんどんルールを変えていきたいと思っています。
質問者
確かに…。会社は人がいてこそ成り立ちますからね。
秋枝さん
人の大切な人生を預かっていますから、「人が財産」とよく言いますけど、もしそう言えないような会社だったら、やってる意味や会社の存在意義が果たせていないと感じますね。
成長のかたち:年齢を超えて学び続ける
"まだ進化できる"って、自分に言い聞かせてる。
―50代からのアップデートは、自分への挑戦―
質問者
社外の人から、「この会社、〇〇だよね」って言われるとしたら、どんな言葉が嬉しいですか?
秋枝さん
「いい会社だよね」って、自然に言われるような会社が理想です。
年輪のように、じわじわ着実に成長していく企業でありたいですね。
質問者
ああ、"急成長"じゃなくて、"年輪成長"ですか。いい表現ですね。
秋枝さん
急に伸びたものは折れやすい。でも、少しずつ、しっかり積み上げてきたものは強い。
そんな組織を一緒に創っていきたいと思っています。
信頼でつながる組織文化
"いい会社だね"って、自然に言われるのが一番うれしい。
―年輪みたいにじっくり育つ会社でありたい―
質問者
じゃあ、秋枝さんにとって「仕事がうまくいってるな」って感じるのは、どういう時です?
秋枝さん
数字だけじゃ測れない部分もありますけど、チームが同じ方向を向いて、ちゃんと前に進んでるなって実感できる時ですね。
そういう時は、やっぱり手応えがあります。
質問者
うん、それわかりますね。ちゃんと"動いてる"感じって、ありますよね。
秋枝さん
はい。目標に向かって行動していくには、今のやり方にこだわりすぎず、必要なら変える覚悟も持たないといけない。
みんなで意見を出し合って、「これがベストだよね」って納得して進んだ結果なら、多少の失敗も意味があると思ってます。
質問者
じゃあ逆に、「こういう人とはちょっと…」ってタイプ、いますか?
秋枝さん
正直に言うと…自己中心的で、裏表がある人ですね。相手によって態度を変える人。
特に、自分を守るためだけに言うことを変える人は、ちょっと苦手です。
質問者
ああ、それはよく分かります。信用できないですもんね。
秋枝さん
同じ空間にいるだけで疲れちゃうというか…。同じ空気を吸いたくない、って思ってしまうくらい嫌です(笑)

質問者
信頼できない人とは一緒に仕事したくないですもんね。
では、仕事をしていく上で、「これは大事にしてる」っていう軸はありますか?
秋枝さん
情報共有ですね。なるべく、みんなが同じ情報を持ってる状態を作りたいんです。
情報が共有されていないと、そもそも意見も合わないし、その結果、ベクトルが合わないですからね。
質問者
たしかに。見えないと動きようがないですもんね。
秋枝さん
そうなんです。今はリモートも便利ですけど、だからこそ、リアルで会う時間の価値が高まってると思うんです。
できれば、飲みの席で熱く語りたいですね。くだらない話も含めて、その人の人柄が伝わるような。
質問者
いやぁ、飲みの場って本音出ますもんね(笑)
「ソムリエナイフは常に携帯。だけど、よく忘れる。」
―趣味と酒に生きる"ちょっと困った人"な秋枝の日常―
質問者
奥さんから見て、秋枝さんってどんな方だって言われてます?
秋枝さん
「困った人」って言われますね(笑)。物欲あるくせに飽きっぽいって。
質問者
あはは、それは…ちょっと耳が痛い(笑)
秋枝さん
ロードバイクを買った年なんか、「今年何回乗ったの?」って真顔で聞かれましたよ(笑)
質問者
今の趣味はやっぱりテニス、ですか?
秋枝さん
そうですね。色々とありますが、小中は柔道、高校ではボクシング、そして社会人になってからはテニスです。
質問者
格闘系からラケット系に! 意外と幅広いですね。
秋枝さん
体を動かすのが好きなんでしょうね。
あと、最近ハマってるのは「晩酌の流儀」っていうNetflixのドラマです。
主人公がね、いかに晩酌を最高の時間にするかを突き詰めてて…妙に共感しちゃって(笑)
質問者
わかります。ああいう"こだわり"って見てて面白いですよね。
秋枝さん
ええ、最近はランニングのあとにビール一本、っていうのが自分のご褒美です。ビールのために走ってます(笑)
質問者
無人島にひとつだけ持って行けるなら、何を選びます?
秋枝さん
釣り竿ですね。魚が好きなので、食料確保にもなるし、楽しみにもなるし。
質問者
ああ、それは現実的かつ、秋枝さんらしいですね(笑)
秋枝さん
ちなみにワインも好きなんで、昔はソムリエナイフは常に持ち歩いたんですけど、忘れることもあって…家にソムリエナイフが5つぐらい溜まってます(笑)
質問者
ソムリエナイフ忘れあるあるですね(笑)
秋枝さん
でも、「酒好き」といっても、上には上がいて(笑)
前に、新幹線の中でアタッシュケースからワイン6本を取り出して飲み始めた人を見たことがあります。
質問者
それは、「業者か!?」ってツッコミたくなりますね(笑)
秋枝さん
いや〜、「この人には敵わないな」と思いました(笑)